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アダック(Adak),米国西端の居住地

Adakと北極海航路:
 アダックと書いたが,eid
æ
k と発音する様である.アリューシャン列島のなかのアンドレアノフ諸島に属するAdak島のKuluk湾にあって,米国の中で最も西にある街 (51º55'14"N, 172º26'16"E).ウナラスカ島ダッチハーバーから西へ350マイル,アンカレッジからは南西に1,300マイルのところに位置する.北極海に続 くベーリング海の南縁であること,米国領土のなかで最も西に位置していることから,北極海航路および北西航路における北太平洋のハブ港をAdakに設けよ うという構想提案がある.

Map

沿 革:
 
アンドレアノフ諸島は,ロシアの案内人であったAndreyan Tolstykhによって1761年に探検されたことに因んで命名されたという.もともとはアリュート族が居住しており,当 時ロシアは,Adak島のアリュート族と活発に交易していた.1830年,ロシアは島を占領し,居住していたアリュート族をコディアク,プリビロフ諸島お よびシトカにあったロシア人居住地に移住させた.その後1867年に行われたアラスカのロシアから米国への譲渡によって,Adak島は米国領となった.そ の後も第2次世界大戦までは,狩猟および漁業がAdak島周辺で活発に営まれていた.
 第2次世界大戦中には,
アリューシャン列島西端のアッツ島とキスカ島を占領した日本軍に対抗して,米国の軍事基地がいくつか設置された.その中でAdakには空軍基地が置かれた.占領した島の日本軍基地から飛び立った戦闘機が,Adak島の米軍基地を攻撃した(あるいはしようとして交戦した)という史実がある.このようにAdakは,その後の日本軍のアッツ守備隊玉砕の戦史に関わる現場のひとつである.
 
Adak 基地は大戦後の冷戦時代の間も継続され,約6,000人の軍関係者とその家族が居住したが,1994年の基地閉鎖に伴い,全ての土地は米国Fish & Wildlife Service および一部は民間に移譲された.また多くの施設はAlute Corporationにリースされた.軍撤退後まもなく約30家族がAdakに移住,2000年の国勢調査では900戸弱が居住していたというが,現在では定住人口は100人弱とのこと.島の主要産業は,外国漁船への燃料・物資の補給,外国船乗組員の交代基地,水産加工などである.漁船はカニ,ハリバット,タラ,ポラックなどを漁獲し,Adakにも陸揚げする.このほか,考古学・火山・地震・自然環境研究,バードウォッチング,カリブー・ハンティングなどの目的での来島者がある.


自 然:
 
Adak島は,北はベーリング海,南は北太平洋に挟まれる.島の面積は711.2km²で,米国では25番目の広さをもつ. アリューシャン列島は海洋性地震地帯でもある.1957年にアンドレアノフ諸島沖で発生した大地震(M8.3)によって発生した津波に襲われ,Adak島が大きな被害を受けたことがある.
 冬期も海氷が発達することはなく,通年で航行が可能である.沿岸は急深で,港のあるSweeper入り江では,湾口にある防波堤で132フィート,海岸から300フィートのところで36フィートある.
 一年を通じて風が強く,気温が低く,植生はツンドラ主体である.天候はほとんど曇天
で,強風が続く.頻繁に,北太平洋・ベーリング海に特徴的な嵐が発生する.この嵐は通年で発生するが,特に冬期に多く,また激しい.また年間の約半分は霧が発生する.気象の変化は非常に局地的になることが多く,2~3マイル離れただけで気象が大きく異なる場合がある.平均風速は15ノット,最大風速は冬の嵐では100ノット,夏でも50ノットに達する.卓越風向はSW.月平均気温は最低が2月で32.9,最高は8月で51.3℃,観測最低気温は3℃(1963年).
 1910 年頃,毛皮猟による乱獲のため,豊富に生息していたアシカ,アザラシが壊滅寸前にまで減少したため,1913年にAdak諸島は アリューシャン列島動物 保護区に追加された.1980年,Adak島はアラスカ海洋自然生物保護区のアリューシャン列島ユニット(ANILCA)に加えられた.Adak島には 1950年代にカリブーが,空軍基地関係者および住民の緊急時食料およびゲーム・ハンティングの目的で持ち込まれた.1994年に基地が閉鎖になり,狩猟 による捕獲が急減し,カリブーの数は急増し,2005年の調査では2,500頭に達した.
 およそ50年にわたる軍の利用によって,Adak島の自然環境は主として石油燃料による汚染が深刻化していたため,現在は軍の協力のもと,汚染除去・環境回復のための作業が続けられている.
  


Reference:
1)    Institute of the North, Arctic shuttle container link from Alaska US to Europe
(retrieved in Feb.28 2011):
                                  http://www.institutenorth.org/servlet/content/studies.html
2)    ADAK UPDATE
(retrieved in Feb.28 2011):http://www.adakupdate.com/bkg.html
3)    Alaska Community Database, Community Information Summaries (retrieved in Feb.28 2011) :
                                  http://www.commerce.state.ak.us/dca/commdb/CIS.cfm?Comm_Boro_Name=Adak
4)   U.S. Fish & Wildlife Service, Alaska Maritime National Wildlife Refuge
(retrieved in Feb.28 2011):
                                  http://alaskamaritime.fws.gov/visitors-educators/caribhunting/adak.htm
5)    Adak Public School Website
(retrieved in Feb.28 2011): http://www.aleutregion.org/adk/